気づきと学び子育て塾「こひつじかい」主宰
磯邊 季里
1958年東京生まれ
私立田園調布雙葉幼稚園より中学校、慶應義塾女子高校、慶應義塾大学文学部卒業
子供の寺子屋塾「こひつじかい」を主宰し、広尾・田園調布教室にて22年間幼児教育に取り組み現在に至る。 「こひつじかい」からは、毎年多くの有名私立小学校合格者を輩出している。受験指導は、教え込むのではなく、 昔から変わらない大切な教材・要素を取り入れ、エコな工作をはじめ、シンプルなものを積み重ね努力する事、 継続する事で生きる力が身につくよう導いている。
保育、心理、創造力育成、食育など多方面から幼児教育に携わっている。
近年は、日本国内のみならず海外へ幼児教育を促進し、セミナーも精力的に行なっている。カウンセリングでは、幼・小受験にとどまらず幅広い層の方々を指導する。
著書:「名門小学校に合格する『本当の知力』を身につけさせる方法」(PHP出版 2012.8)
22年間幼児教育に携わり、親のあり方や子ども達社会の変化など感じていることはありますか
一番大きいと感じるのは携帯電話が普及したことですね。
電話そのものもそうですが、メールが当たり前になったことによりマナーが守れなくなってきたと感じています。これは親も子どもも同じです。
携帯電話があることで、とても大切な親と子どものコミュニケーションが取れなくなっていると思います。
よく見かける光景ですが、バギーに子どもを乗せている間も携帯電話を手放さないですとか、電話しながら、メールしながら何かをする事が増えていっています。それにより、本当の意味での大切なものが失われ、伝わらないと感じています。
また、携帯電話だけではありませんが、情報がすごく増えてしまったので親は子どもに対して様々なことを、決して何もやっていないのに全てやったつもりになってしまうようです。子どもに関する道具についても何もかもどこかで売っているので、親の手作りが失われてしまっています。安く簡単に何でも手に入ることは便利で良いのですが、そこにきちんと愛情というプラスアルファのエッセンスは入れて欲しいと思っています。
時代の変化に伴う良い方向への変化となると、実は探すのが大変だと感じています。
情報はすごく多くなってきて、何かを調べたいときにささっとその場で調べられるというのはすごく良いことなのですが、簡単に答えが見つけられる分、苦労していないのですぐに忘れてしまいますので、やはりマイナス面が目立ってしまうのです。
良い方法で役立てられるようにするのであれば、テレビやインターネットでの豊富な情報を活かして子どもたちが世界のことを身近に感じたり、すぐに見られない、見なくては共感しにくい状況も知る事が出来ます。コミュニケーションを取りながら教えてあげる材料となるのであれば利用価値はあると思います。
子ども達に伝えたいこと、大切にしていることを磯邊さんの経験を踏まえておしえてください
私には28歳と24歳の子どもがいます。2人の子育てをしていた時代には今ほどの情報も、物もありませんでした。受験に関してですと、日々の勉強のプリントも道具も手に入らないので全て自分の手で作り、親も子どもも共にゴールを目指した、という感じでした。今は教材も豊富に販売されていますし、コピーが手軽に取れるので何でもすぐに用意することができます。ですので親は子どもに「がんばって」とエールを送ってはいますが子どもに対して一方的になり、子どもが辛い思いをしてしまうことがあります。
ここで大切だと思うのは、親の背中を見せて、親も共に頑張る姿勢を近くで感じさせてあげる努力をすることだと思います。ひとつやり始めたことを最後までやり続けることによって、苦しい時もあったり楽しい時もあったり、色々な経験ができるようになります。その事を学んでほしいと思い子育てをしてきました。
今では子どもたちもこの経験が糧となって社会人生活を頑張っているのだと思います。
今小さい子どもたちに伝えたいことは、時代がどんなに変わっても、便利になっても、世の中で生きていくためには心がなくてはいけないという点を伝えていきたいです。
当たり前のことなのですが、「ありがとう」「ごめんなさい」をきちんと言うことが大切だと思います。それは日本人としてとても必要なことです。海外では、簡単に「ごめんなさい」と言ってはいけないと教える子育て法もありますが、日本人ならではの大切なものをきちんと身につけて、自然にできるようになって欲しいと思っています。
また、古い考え方かもしれませんが、一歩一歩階段を登って行くように努力をすること、世の中が便利になってしまったので多様化はしてきていますが歯を食いしばって苦しくても頑張る事というのは小さい時に身につけておかなくてはいけない事で、後々、大きくなったからと言ってできるものではありません。やはり、苦しかった事を克服した後にだからこその幸せがあることを小さい時から分かって欲しい、達成したからこその倍の喜びを感じられるよう成長してほしいと思っています。
乳幼児のいる家庭へのアドバイス、また「こひつじかい」ではどのような教育をされていますか
今は小さい子どもがいても外に出かけて行く事が親自身のリラックスや親同士の情報交換やコミュニケーション手段になっているのだと思います。しかし、子どもが3歳になるまではなるべく家で過ごす時間を大切にし、公園に行くなど母子で過ごす事を優先して欲しいと思います。母子で過ごす貴重な時間を重ねることで様々な事を教えてあげ、絆を深めながら土台を作ることができると良いと思います。
そして、子どもの事を考えると、親が楽なバギーでの移動も子どもたちには走りたいという欲求があると思うし、走りたいだけ走って転ぶこと、転んで怪我をすることも大切な経験です。その前に親が危ないからとブレーキをかけてしまうことなく、その際、その時に大事なことをしっかりと家庭で教えてあげてから外に出るようになると良いのではないでしょうか。
また、食育の良い期間でもありますので、加工、調理する前の原形に触れさせて学ばせてあげる機会を大切にして欲しいと思います。私の教室で行っている体験学習を例にしますと、田植え、稲刈りを通してお米についてや、大根掘りでは大きな大根は自分の方にではなく、上方向に抜かなくては折れてしまうこと、また、大根には自分たちの身体より大きな葉がふさふさと付いていることを教えてあげるのは子どもが小さい時ならではできることだと思います。
「こひつじかい」では、現場で子どもたちと共に私自身も成長しながら学んでいく場としての教室運営をしています。子どもたちが学ぶことの楽しさを知り、わくわくしながら何事にも取り組むチャレンジャーになってもらいたいと考えています。目先のハードルを飛び越えようとするのではなくて、一歩一歩、一緒に考えながら歩んでいくような教室でありたいと思っています。
教室ではペーパーや工作、運動のほかに遠足や体験学習を行っています。
大根掘り、芋掘り、みかん狩り、たけのこ堀り、じゃがいも掘り、お茶摘み、田植え、稲刈りなどその季節にあるもの、旬を意識して味わうまでを近郊や海老名など様々な場所で体験しています。当たり前のことではありますが、現地までも電車やバスを利用し、階段を歩く、重たいリュックサックを背負っていても自分の足で立って乗車することを教えています。家を出てから帰宅するまでが外出なので、座ってゆっくりする、寝るようなことは帰宅してからできるということを伝えるようにしています。
合同クラスや遠足、課外活動、キャンプには幼稚園時代こちらの教室に通っていた卒業生が大学生や社会人スタッフとして参加してくれています。
こひつじかいの卒業生たちは教室を卒業した後も連絡をしてくれたり、遊びに来たり、進学や就職の相談に来たり、みなさんとの繋がりが長年続いています。
今後挑戦してみたいことや新たに始めたいことなどあれば教えてください
私が考えていることは、子どもたちも大人もたくさんの夢を持っていて欲しいということです。夢というのは叶えるものですが、中には叶わないものもあるかも知れない。でも、その夢に向かって頑張ることが人間を成長させてくれる神様からの大きなプレゼントだと思います。
私自身はそれまで海外に活動の幅を広げるとは思っていなかったのですが、縁あって海外に出たことで日本人として大切なことを教えられたり発見したりする機会となっています。教室を大きく広げたいというようなことではなく、何か一人でも多くの子どもたちの役に立てるような小さな種を撒いていきたいと思っています。
K&R ACADEMY株式会社 代表取締役
スタイル | 幼児教室 |
ホームページ・ブログ | http://www.kohitujikai.jp/ |
詳細 | K&R ACADEMY株式会社 【広尾教室】 【田園調布教室】 詳細はお問い合わせください。 |
PR | 仲間と共に自然の中で五感を磨き、豊かな体験をする実体験型の授業(田植え、稲刈り、スキー等)を主体とし、「心のリレーション(絆)」を伝えることを使命としながら子供達の笑顔が輝くよう、わくわく学ぶ楽しみを教えています。 |
22年前より、幼児教室を運営しています。また、国内外での講演活動を行っています。
始めた当初は幼稚園、小学校受験が目標の教室でしたが、徐々に受験だけにとどまらず幼少期に生活の中からの学びを身につけて欲しいと思い、親の視点から子どもを見るだけでなく、子どもたちを通して親も成長できる場としてのクラスを運営しています。
教室は田園調布、広尾、たまプラーザ、中国の上海、タイのバンコクで開催しています。自分の子育てをしながら始めた仕事でしたが、子どもたちが社会人として自立した今、少しでも人の役に立っていきたい、私でも伝えられることがあればメッセージを送っていきたいと思い、これまでやってきた田園調布、広尾に続いて様々な場所で活動の幅を広げていっています。
海外では定期的に現地へ赴き、講演活動、教室の開催をしています。今後は独自のカリキュラムを基に現地でのレギュラークラスの開講を行います。
国内教室においては、現在は1歳半からのキンダークラスをはじめ、幼稚園年少、年中、年長クラスがあります。
学年の枠を超えて合同で月に1度行う遠足など課外活動や、季節ごとの泊りがけのキャンプにより、机に向かっての勉強だけでなく体験をしながら学ぶことを大切にしています。先日も冬探し遠足として、梅ヶ丘の梅祭りにみんなで行ってきました。現地に到着するまでも身体を動かすカリキュラムと考えておりますので、移動中も集団で公共のルールを学びながら遊ぶことを教えたりしています。
外に出かけるときには、その季節ごとの自然の変化、日本人ならではの季節感を味わってもらえるようにしています。
単に教室で受験に必要とされているペーパー授業や工作を教えるだけでなく、さらに広い範囲の事を伝えていきたいと思っています。
工作は牛乳パックやペットボトルなど身近にある材料を使い、「エコ工作」であることを意識して、その季節に合った題材を考えています。まず新聞紙や裏紙を使い工作中に出たゴミを入れるゴミ箱も作製しスタートします。なるべく大人が手を出さずに子どもだけで完成させられるよう工夫しています。
教室での授業は準備も含め私自身が担当していますし、一人ひとりの個性を引き出すことを考え、基本的に1クラス5人程度の少人数制にしています。
幼稚園年少、年中、年長クラスの合同授業を行う事もあり、その時にはそれぞれの学年の子どもたちが異年齢の子どもたちを思いやり、子どもたちの成長を感じることができる時間となっています。
子どもたちが教室に来るたびに成長していることを感じ、私自身とても楽しく仕事をしています。